くじら日本一のまちを目指した市長として、いくつかのエピソードを紹介します。下関ふくの業界で育った私ですが市長に就任して早々に感じたのは、くじら政策が国家事業であること、よってそれに賛同して取り組みに力を入れれば下関がくじらのまちとして有名になり、その経済効果は大きいというものでした。
今回の内容は2014年にヨーロッパのスロベニアで開催されたIWC総会後、朝日新聞に投稿した記事の内容です。
「スロベニアで9月に開かれた国際捕鯨委員会(IWC)の総会に日本政府代表団の一員として出席した。山口県下関市は近代捕鯨発祥の地だ。1930年代に始まった南極海捕鯨の中心地であり、鯨を「市の動物」と定めている。鯨肉を使った学校給食を年に12回実施したり、調査捕鯨船団の基地化を目指している立場から、日本の調査捕鯨について意見を述べたい。IWC総会は想像以上に日本に対する各国の反応が厳しく、事実上、日本の南極海での調査捕鯨について、2016年以降に先送りするよう求めたニュージーランドの決議案が可決された。しかし、そもそも国際捕鯨取締役条約の前文には「捕獲を適当に取り締まれば繁殖が可能」「繁殖すれば、この天然資源を損なわないで捕獲できる鯨の数を増加することができる」とある。乱獲からの保護をうたうとともに、「捕鯨産業の秩序のある発展を可能にする条約」であると述べている。さらに8条では、科学的研究を目的とした自国民の鯨の捕獲などに対し、締約国政府は特別許可書を発給できると定めている。今回の提案は特別許可の発給権利を制限しようとするもので、条約の目的を大きく逸脱するものである。このような理不尽なルール解釈によって我が国固有の食文化が崩壊させられようとしているいま、反捕鯨国には国を挙げて対応することが必要だ。調査捕鯨の費用の大半は副産物である鯨肉の販売収益で賄われているが、調査経費をすべて国が負担することについても検討すべきである。調査捕鯨に対する国民の理解を広げるためには、鯨肉を食する機会を増やすことが求められる。いまは市販されているほかに公益用として比較的安価で学校給食などに提供されているが、この対象に老人ホームなど高齢者福祉施設への提供も加えたらどうか。近年は、ミンククジラが大量の海洋生物を捕食しているという調査結果が示されている。「くじら文化」を守り、生態系を保全するためにも、科学的データーを集めるための調査捕鯨は継続すべきである。政府は関係各国の理解が得られるよう、丁寧な説明を行って欲しい。それが「日本一のくじらのまち」を目指している都市からの願いである。
その後、紆余曲折あり、2019年6月、日本はIWCから脱退、我が国の経済水域内で商業捕鯨の再開をしたのです。